今週末推しがアイドルを卒業する

多分、推しが卒業する今週末で私は現場を降りる。約1年半、世間のアイドルオタクとしては短いのかもしれないけれど、私にとって彼らを大好きだった時間は、ちゃんと長くて濃くて胸がぎゅっとなるキラキラした時間だった。大好き大好きで胸が苦しかったし、毎日目が離せなくて毎回のライブが特別だった。彼らとならどこへだってたどり着けると信じていたし、彼らも夢をたくさん口にし、そして叶えてくれた。

 

そのキラキラドキドキと、今の彼らに対する思いが、どうしてこんなに遠くなっちゃったんだろうと思うと、すごくかなしい。

ガッカリするほど下手な運営と、グループを自分のエゴと切り離せない、体だけ大人になってしまったようなPの暴走と、いつも何か「終わり」や「ファンの不満」や「売れないこと」に足を取られながら、何でもないように役を演じ続けるメンバーと。そして、推しが好きだから文句を言わないでついて行くしかないファンの「それでも大好きだよ!」。

ここ1ヶ月ほどで、特にそれが露呈するような出来事が立て続けにあった。今までは毎回嫌悪感で胸が抉られて、でも好きでいたい気持ちで押し黙っていた。嫌悪を言葉にしてしまったら本当に戻れない気がしたから。ストレスではあったけど、メンバーは魅力的で大好きだったから、考えないようにすればまだ好きでいられた。

でも、だんだん、またか、と呆れて終わるようになった自分に気がついた。感情が動かなくなった。モヤモヤすらしなくなった。この前はついに、必死になってるPやメンバーやファンの様子が滑稽で笑ってしまった。

完全に自分が外側の人間になってしまったのを感じた。そして、何ヶ月も殆ど活動に参加してない推しも、多分もう外側であるのだと気づいた。

虚しい。悪い方にすら、心が動かされない。

 

卒業イベントは、1曲だけの披露。発表は1週間前。多忙な中で都合を付けてくれたって感謝するツイートと、大切な卒業の扱いが雑すぎるって怒るツイートに溢れたTLを、どうでもいいやって思いながら、でもなぜか全部ちゃんと読んだ。

 

推しの卒業。4年間も活動して、推しの人生で大切な時間と感情を割いた、大事な大事なことなのに。楽しみでも悲しくも感慨深くも感じない、ただその日に卒業があるのかという事実だけ頭の中にある。

実感がないのではなくて、負の感情が大きすぎて考えないようにしているのかもしれない。だって考えたら、推しが大好きなグループを卒業して寂しい気持ち、だとか、メンバーやファンに惜しまれつつ最後まで精一杯アイドルをして卒業する推し、だとか、そういう「幸せな卒業のテンプレ」をどうしたって迎えられない事実を感じてしまうから。

 

寂しい気持ちより、よかったなって思ってしまった。いや、そんな綺麗な感情じゃないのかもしれない。Pざまあみろ、かもしれない。推しだけでも逃れられてよかった、かもしれない。思いたくない言葉がどんどん浮かんでは、ひきちぎれてしまった頭と心に虚しくなることをずっとしている。

 

卒業という、推しのアイドル人生における最後で最大のイベント直前になって、あのキラキラしていた時間が、グループに対しての「大好き」の輝きが、消えてしまった。まだ大好きでいたいのに。メンバーのことは好きなのに、もう見るのも辛い。多分もう、純粋に彼らのキラキラを浴びることは出来ない。

そうやって、もう手放しで大好きでいるのができなくなってきている、けどそれに反して、グループを降りることは辛い。私が嫌いになったのはメンバーじゃなくて、グループのあり方だから。

私1人ファンやめた所で変わらないのは分かっている、でも、彼らが今まで見せてくれたファンひとりすらを大切にする姿勢を、その努力を、裏切ることが辛い。

そして何より、残された彼らがこれからもPの夢の為のアイドルをやらされると思うと辛い。それを見捨てるのが辛い。アイドルという宗教に洗脳されて、このグループを信仰するようにまるで「ここだけが自分の夢の場所」であるかのように育てられ、努力し続けていくメンバーが辛い。これからも虚構の夢を与えられながらメンバーは苦しんでいく、それを美しいとは思えない。アイドルが思い悩み苦しむことを、エンタメとして楽しむことはできない。だってそこには、生身の人間の人生がかかっている。

 

素直な気持ちは「解散したらいいのに。」

そう思ってしまう時点で、応援する資格はもう、私には無い。

 

 

今日のライブは行けなかった。でもどうしても気になってTLを見ていたら、最っっ高だった!という人と、辛くて見ていられなかったという人と、両極端に分かれていた。行ったほうがよかったのか、行かなくて正解だったのか。行ったら昔のように、大好きで溢れて帰ってこれたのかもしれない。でも辛い思いをして帰って来るだけかもしれない。それならもう、出来るだけ考えたくない。彼らのことを忘れてしまいたい。

 

初めてアイドルを好きになって、この1年半は本当に楽しかった。でも多分私はこれから一生、アイドルを「真剣に」応援することはないのだろうと思う。

彼らがくれた特別な感情を、私はどう処理していいか分からない。メンバーは大好きなのだ。それでももう、私に応援することは出来ない。

 

彼らを応援することで毎日幸せそうに生きているファンの呟きを見る度、羨ましくてたまらない。自分勝手なことを言えば、これからもどうか彼らを見届けてあげてほしいし、幸せにしてほしい。

私も今週末は、笑って彼らを見守りたい。どうしたって辛いだろうけど、頑張って笑顔で推しの卒業を見届けます。